そうそう、この2005年の1月20日には、テレビの収録であの「ホリエモン」ことライブドアの堀江貴文さんにお会いしました。たしか、「賢者の選択」という番組で、矢動丸という代理店がBS朝日とVIVIA(テレビ朝日映像)とで共同製作をして、各界のリーダーが歩んでこられた足跡を辿るという趣旨の、土曜の朝10時から始まる番組だったと思います。矢動丸は大阪の会社だったのですが、それまで私との接点はなく、前田高明社長と初めてお会いしたのは、前年の10月27日のことでした。たしか、吉本時代に女子プロレスの社長をしていた卯木基夫君の紹介だったと思います。卯木君は吉本を辞めた後、「スリーフィールド」という会社を立ち上げていたのですが、彼がOBC時代に付き合いのあった前田社長からの依頼もあって、この番組のお手伝いをしているとのことだったように記憶しています。
この月、既に始まっていたこの番組は、蟹瀬誠一さんがMCをされていたのですが、スケジュールの都合かどうか分かりませんが、なぜか堀江さんの回と、3月3日収録のダイソー矢野社長の回だけは私にお鉢が回ってきたのです。矢野さんは旧知の仲ということもあって理解できたのですが、堀江さんの場合は、「なんで?」と思い、その場でのお返事は留保させていただいたように思います。その後、私の出演している文化放送まで出向いてくれた卯木君の口説きもあって、お引き受けすることになったのですが、きっと堀江さんには、「苦手なジャンルの人ではあるけれど、どこかでこの人に会ってみたい」と思わせる魅力があったのだと思います。
前年、近鉄バッファローズの買収に失敗したライブドアの堀江さんは、まさにこの時期、資本金の小さい親会社のニッポン放送の買収を仕掛けて、子会社のフジテレビの買収に乗り出している渦中にあり、その特異なキャラクターもあって、「ホリエモン」の異名で世間の注目を浴びている人物でした。アナログ人間の私などには、到底理解の及ばない思考回路を持つ人物でしたが、怯むことなく、果敢に大人社会に挑んでいく彼の姿勢が何とも面白く、いったいどんな人物なのかを自分の目で見てみたかったのです。
結果、ライブドア内部の反対等もあって、この件も球団買収と同様に成就することはなかったのですが、その後に楽天がプロ球団を買収して、TBSに触手を伸ばし、ソフトバンクもまたダイエーホークスを買収して、テレビ朝日に手を伸ばしたことを思うと、この人の先見性には端倪すべからざるものがあるように思えます。「せめて、ネクタイを締めて、敬語を使っていればなぁ・・・」、そんな思いを抱えながら、BS朝日のスタジオを気ぜわしく去っていく後姿を眺めたのを今も憶えています。
2月28日には、六本木ヒルズの森タワー49階で、国交省主催の「コミュニケーション・スキル向上」で講演、3月12日には、新宿にあるエン・ジャパンで有名塾のスペシャル・エデュケーション、18日は築地・浜離宮の朝日ホールで講演、その後、当時フジテレビで「めざまし土曜日」のメインキャスタ―をされていた八塩圭子さんの司会で、ファイナンシャル・プランナーの浅井秀一さんとパネルディスカッション、さらに20日には、大阪日本橋の「でんでんタウン」の活性化のために開催された歩行者天国「日本橋ストリート・フェスタ」に参加をして、「宝恵かご」に乗せていただきました。たった1日のイベントだったのですが、24日に開幕をした愛知万博の初日を上回る13万人以上の人が訪れる賑わいを見せました。もっとも、梨園・花柳界どちらにも縁のない私が、白塗りをすることなどはありませんでしたが、町の再興にかける商店街の人たちの心意気を感じた1日となりました。
そして3月24日には、同志社大学寒梅館ハーディホールで開催された「プロデューステクノロジー創生シンポジウム」に行き、堺屋太一さんの「次世代の人材育成への提言」という基調講演の後開かれた、「次世代の人材育成に求められているプロデュース能力とは何か」と長いタイトルのパネルディスカッションに、東京大学の原島博教授、マイクロソフトの古川亨さん、同志社大学の山田和人 人文学部教授と共に参加させていただきました。こうしてみると、けっこう忙しく日々を送っていたようですが、本当に忙しくなるのはこの後だったのです。
堀江貴文さん
前田高明さん
蟹瀬誠一さん
八塩圭子さん
浅井秀一さん
「宝恵かご」に乗せていただきました。
「プロデューステクノロジー創生シンポジウム」の記事