小林社長が「脱スーパー」を目指してつけられた、マイカル(MYCAL)というのは、Young&Young Mind Casual Amenity Lifeの略で、当初考えられた案では、YM-CALだったそうですが、世界的な建築家でありデザイナーとしても世界的評価を受け、「創造の天才」と呼ばれていたエミリオ・アンバース氏にアドバイスを求めたところ、3音節より2音節の方が発音をしやすい、MYが「私の」という意味で親しみを感じてもらえる、CALは明るいカリフォルニアのイメージを連想させるということで、Yの字とMの字を入れ替えたのだと言われています。
この理念を具現化したのが「マイカル本牧」だったのです。何度かニチイさんの方とお目にかかって、お話を伺っているうち、「やっぱり、自分の目で見てみたくなって、訪れたことがあります。さすが、横浜市の「街並み景観大賞」を受賞しただけのことがあって、とても米軍の居留地跡に建ったとは思えない、スパニッシュ・コロニアル様式でベージュ色に統一された外観の美しさに目を奪われました。物販ゾーンばかりではなく、ラトーヤ・ジャクソンがライブをしたことがあるNYと提携した「アポロシアター」もありましたし、名画を上映する「シネ・スイッチ」や、エンターテイメント作品を上映する「シネページ」の2館があるシネスクエアには、バットマン・カーの実物が展示されていましたし、将校クラブを再現したバーの「オフィサーズクラブ」もありました。とりわけ、私が気に入ったのがホテル「ルファール本牧」でした。歩くたびに足が沈むスペースソフト工法が施され、クッション性のある床が何とも心地よく、今でもその感触が残っていますね。
89年のオープン初年度には、来客数で東京ディズニーランドを上回る1,500万人を集めるほどの盛況を見せたのですが、93年にランドマークタワーなどの新名所の完成もあって、頼みとしていた横浜高速鉄道みなとみらい線の延伸も凍結され、交通アクセスの悪いマイカル本牧は徐々に「みなとみらい21」に客を奪われるようになっていくのです。
そして、私たちが次に仕掛けたのが、96年12月25・26日の2日間にわたる「マイカル・吉本大博覧会 in 東京ドーム」というイベントでした。朝の10時から午後7時まで、漫才・落語・新喜劇などのお笑いから、音楽や女子プロレス、モーリー・モールまで様々な形のエンターテインメントを一度に体験できて、なおかつ、マイカルグループのパワーをプラスして、一日中ファミリーやカップルで楽しめるというものでした。西川きよしさんや桂三枝さんらの大御所に加え、今田耕司、東野幸治、トミーズ、ナインティナインら総勢200名のタレントが東京ドームに集結するイベントでしたが、グランド部分に設えられたそれぞれのブースを観客席から眺めると、さすがに東京ドームは広かったですね。
エミリオ・アンバース氏
MYCALのマーク
アポロシアター
ラトーヤ・ジャクソン
オフィサーズクラブ
ルファール本牧