島田珠代さんは、MBSTV「4時ですよーだ!」の素人参加コーナーでデビューしたNSCの6期生で、92年にはフジテレビの「笑っていいとも!」に出演するなど、新喜劇の若手有望株として、脚光を浴びつつある存在になっていました。
今一人のピーコママは、北新地で、ショウなどをせず、ひたすらしゃべくりだけで客をもてなすゲイバー「おだまり」のママとして知られた人でした。なかなかのやり手で、銀座にもお店を出し、木曜日だけはピーコママが店に顔を出していました。近畿大学で柔道をやっていたとかで、ただでさえ立派なガタイの上に、さらにうず高く積まれた頭のせいもあって、圧倒されるほどの存在感がありました。そのキャラクターに目をつけて、テレビ出演を勧めたことがあったのですが、生まれ育った徳島の親戚に知られるのがネックとかで、どうしても、ウンとは言ってくれなかったのです。もし、叶っていれば、今のマツコ・デラックス以上の存在になっていたかもしれませんね。でも、この時は、「舞台だから」と口説いたこちらの意を汲んで、出演することを承諾していただきました。
さて、この2人に並ぶのはだれか?と考えた時、大崎君と私の頭に浮かんだのが、「ナンバの雪だるま」大木早織君だったのです。大木君は当時、NSCの卒業生のフォローと育成のために行っていた、NGKホールでのイベントを任されていたのですが、島田珠代さんと強烈なキャラクターのピーコママに対抗するには、「これくらいキャラが立っていないと!」と思ったのです。おまけに彼女の場合は社員ということもあって、ギャラも発生しないということで、異例の抜擢(?)をすることになったのです。
9月中旬から始まった稽古では、タップダンスや踊り、歌の厳しいレッスンが始まりました。もちろんその間にも、島田珠代さんは新喜劇に出演し、ピーコママはお店に出て、大木君はルーティンの業務に奔走し、「目茶苦茶しんどい、いっそこのまま倒れてしまわへんかな?」と思いつつ稽古に出たら、皆から「大木はいつも元気やなあ!」と言われる日々が続いたのです。
島田珠代さんは94年、ホリプロさんから声がかかり、天王洲アイルの銀河劇場で公演された音楽劇「サザエさん」にカツオ役で出演させていただきました。ピーコママはその後、店もますます繁盛して、変わらずゲイ道に精進されていると聞きます。大木君はこの時の酷使によほど懲りたのか、風の便りに聞くところでは、ハワイでのんびりとした日々を過ごしているそうです。きっと今頃は「ハワイの雪だるま」などと呼ばれて、皆の人気者になっているかもしれませんね。
おだまり
ピーコママ
さてどちらが本職のお相撲さんでしょう?
声をかけていただいたプロデューサーの金森美弥子さん
銀河劇場
波平さんとワカメちゃんが合体したら、こうなります
ハワイへ行った雪だるま
悲鳴をあげる雪だるま