木村政雄の私的ヒストリー

HISTORY

第話

 疲弊する漫才組を他所に、明石家さんまさんは、堺正章さん主演の「天皇の料理番」(TBS)、大原麗子さん主演の「五辨の椿」(YTV)、浅丘ルリ子さん主演の「離婚テキレイ期」(TBS)などのドラマに出演をしたり、「のんき君」3部作や、コントシリーズ「心はロンリー気持ちは…」(何れもフジテレビ)で主演をしています。映画にも出ましたね、「次郎長青春篇 つっぱり清水港」(松竹)では中村雅俊さんの次郎長、さんまさんは小政で、紳助さんが森の石松だったと思います。最高視聴率55.3%、平均視聴率44.3%を記録して沢口靖子さんの出世作となったNHKの連続テレビ小説「澪つくし」にも出演していましたね。

 そんなさんまさんが、武敬子さんと出会ったのは、86年1月1日にTBSで放送される「好色一代男 世之介の愛して愛して物語」について(演出 : 久野浩平、プロデューサー : 武敬子、原作 : 井原西鶴、脚本 : 吉田剛)のオファーを受けた時だったと思います。武さんと言えば、RKBを辞めた後、テレパックへ移り、「三男三女婿一匹」や「野々村病院物語」のプロデューサーとして、石井ふく子さんや和田勉さん、久世光彦さんらと共に「日本のテレビドラマを作った11人」に挙げられる有名な方です。私はそれまで武さんにはお目にかかったことはなかったのでが、お会いした会食の席で、さんまさんに対する思いを熱く語られる武さんを見て「この人なら!」とお受けすることにしました。それが「男女7人夏物語」「男女7人秋物語」(いずれもTBS)、さらには映画「いこかもどろか」「どっちもどっち」(いずれも東宝)へと続いていくのです。「男女7人」は、夏物語が最高視聴率31%、秋物語が36.6%を記録してトレンディドラマの元祖と呼ばれ、「いこかもどろか」も配収16億円を記録しました。この年にさんまさんは、共演をした大竹しのぶさんと結婚、90年に封切られた「どっちもどっち」では相手が松田聖子さんに代わりました。

現場の仕事はマネージャーがついていて、私が顔を出すようなことはなかったのですが、折々に武さんからお電話をいただいたり、食事をさせていただいたりする都度に聞かせていただくお話が、普段接触しているバラエティ分野の方と違っていて、とても新鮮で勉強になったのを今でも憶えています。

 さんまさんはその後も活躍を続け、1999年には「日本で最も露出の多いテレビスター」としてギネスブックに世界記録を認定されるなど、今でも各ランキングでトップクラスの評価を獲得し続けています。小学生の頃にムササビを捕まえたという、すばしっこい少年は、いったいいつまで大空を翔び続けるのでしょうか。

山本周五郎さん原作「五辨の椿」(新潮文庫)

 

 

武敬子さん(ご著書の「たけさんのプロデューサー物語」朝日新聞社)

 

 

 

 

 

さんまさんの母校に飾られているムササビの剥製

 

 

飛翔を続けるさんまさん。いつまで大空を翔び続けるのでしょうか