木村政雄の私的ヒストリー

HISTORY

第話

 やす・きよさんの仕事も順調に増え、コンビではNTV「おはよう子供ショー」、西川さん単独ではTBS「料理天国」、横山さん単独ではNTV「ウィークエンダー」などが新たに加わり、以前にも増して東京へ行く機会が増えてくるようになりました。「おはよう子供ショー」ではコーナーの「子供のど自慢」の司会を務め、1日に1週分の5本を撮ります。取り立ててアクシデントが起こるような番組でもありませんので、1週目の収録が始まったらスタジオを離れ、各局をめぐり、知り合いのプロデューサーやディレクターを訪ねていました。ただ、あちこちに顔を売るのも大変なので、必ずこの局ならこの人というキーパーソンを決め、その人を通して他の人を紹介していただくようにしていました。限られた時間、しかも東京というアウェイの地で効率的に仕事を進めるにはこの方法しかなかったと思います。

 「料理天国」はサントリー1社提供、大阪の辻調理師学校が監修についた料理バラエティで、司会は芳村真理さん、そして西川きよしさん。レギュラーに龍虎さん、あの久米宏さんが局アナでレポーターを務めていらっしゃいましたね。とっても品のいい番組で、北の丸の科学技術館にある千代田スタジオがいいムードに包まれていたのを覚えています。

 それとは対照的な番組が「ウィークエンダー」。かって難攻不落と言われたNHKの大河ドラマ「天と地」を、コント55号の「裏番組をぶっ飛ばせ」で文字通りぶっ飛ばした奇才、細野邦彦プロデューサーの番組で、今テレビのワイドショーの原型になったといわれる「あなたのワイドショーのテレビ三面記事」を週末のプライムタイムに移行したものです。俗悪番組などと言われましたが、「人間が理屈ではなく、どうしても見たくなるものにこだわる」という細野さんのポリシーが番組全体を貫いていました。司会は漫画家の加藤芳郎さん、レポーター水之江瀧子さん、大山のぶ代さん、すどうかずみさん、朝丸(現ざこば)さん、泉ピン子さん、横山やすしさんなど。監修円山雅也さん、再現フィルムの冒頭に流れる「新聞によりますと・・・」というナレーションが流行り、番組終了時の視聴率が20パーセントを超えていたといいますから大したものだと思います。

 こうしてみると、横山さん・西川さん、二人とも、それぞれがそれぞれにふさわしい番組に出演をさせていただいていたような気がします。もっとも、プロポーズ大作戦をABCホールで19時20分に終えて、20時発の飛行機で横山さんと羽田に向かい、22時からの生放送に間に合わせるのは大変でしたが、一度も穴をあけたことがなかったのは奇跡ですね。

左から、久米宏さん、服部真湖さん、芳村真理さん、西川きよしさん、龍虎さん

西川さんが単独で出演していたTBS「料理天国」

 

横山さんが単独で出演していたNTV「ウィークエンダー」

 

「プロポーズ大作戦」のロケで訪れたバリ島の寺院で(昭和52年)

 

予定で埋めつくされた当時のスケジュール表